ブータンの話 その7

トレC

2011年09月16日 11:59



家族が、親戚が、政府が、助けてくれる

 「人生1度きりなんだから!」と欲求に素直に生きる快楽主義。先のことな
んて考え過ぎず「今」を生きる刹那主義。

 さらにもう1つ、ブータンの人たちのバブル的で(そして少し危なっかしい)
消費行動につながっていると思われるブータン人の生き方があります。それは、
「いざとなったら助け合う」というものです。

 過去5年間の間にずいぶんと都市への人口集中が進んだものの、それでも日
本などに比べると、ブータンにはまだまだ「血縁・地縁」や「ムラ社会」とい
った考え方が強いように思います。


町中でのんびりしているおばあちゃんたち
画像のクリックで拡大表示 例えばブータンでは、「こいつ、俺の弟」と紹介
されて、しばらく話していると「こいつの親と、俺の親がな…」と話し始めた
りする。「はて? 兄弟なのに、なぜ親が違うのかしら」と思い、よく聞いて
みると彼らは兄弟ではなく従兄弟だった、というようなことがしょっちゅうあ
ります。

 「従兄弟」と言っているものの、実は同じ村出身の同年代であるだけで、特
に血縁関係ではない、ということもあります。特に地方では、暮らしている小
さな村全体が共同体意識でつながっているケースが珍しくありません。「幼な
じみはみな兄弟! 知っているやつはみな親戚!」という感覚なのでしょう。

 いつも家族のことを考え、いつも村のことを考える。都市に出てきている人
もなお、家族と強い絆を保っている。そして、困ったら助け合う。そんな感覚
がまだ自然と根付いています。
 とりあえず、生きていて何か困ることがあったら、家族が助けてくれる。家
族もみんな困ったら、親戚や近所の人が助けてくれる、そんな考えが根底にあ
る気がします。お金がなくなれば家族や親戚のところに転がり込めます。そし
て手厚い国の助けもあります。ブータンでは教育も医療も無償なので、万が一、
病気になった場合の医療費を心配する必要もありません。


続く..........

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