2011年08月29日

ブータンの話 その6

ブータンの話 その6

平日の日中、歩道の手すりにもたれて空を見ている男性
画像のクリックで拡大表示 ひょっとしたら、ブータンの人にとって時間とい
うのは、いつまでも、いつまでも同じ間隔で目盛が続く抽象的なモノサシなの
ではなく、今目の前にある具体的なこの瞬間、のことなのかもしれないと感じ
ます。モノサシに沿って、ずっと先まで予定を立てその予定に従って生きたり
しない。そのモノサシを自分たちの生活に当てて測ったりしない。

 ブータンの人たちにとって時間は、もっと具体的に想像できる、感触のある
「今」なのかもしれないと感じます。そしてブータンの人たちは、いつも具体
的な「今」を生きている。


“江戸っ子気質”にローン制度が馴染むか

 最初、ブータンに来たばかりの頃は、そんな彼らの時間感覚に戸惑うことも
多くありました。何しろ、会議1つ入れるにも、先の予定が立てられない。オ
フィスにみんないるようだったら声をかけて会議を始める。しかし、慣れてく
ると、これはこれで、楽でいいな、とも思います。いつも、何ごとにもオープ
ンでフレキシブルでいられる。

 予定を立てすぎると、時に物事を予定通りに進めることそのものが目的化し
てしまうこともあるように感じます。そして、予定通りにいかないと周りに迷
惑もかかりますし、ストレスにもなる。予定にないことに対して寛容でなくな
ることもある。

 でも、ここまで予定が立っていない世界だと、「予定を立てちゃったから、
その通りにやらなくてはならない」というプレッシャーはない。常に、目の前
にあることについて素直に「いいな」と思えることをやっていく。そういう気
楽さがあります。

 一方で、現代社会のシステムにはうまくなじまない部分も多いと感じます。
例えば、ローンです。前回、計画性のないローンを組む人が多くなっていると
いう話を書きました。でも、1週間先の予定を立てられない人たちに、7年のロ
ーンを組ませるのは、そもそも難しいように思います。

 きっとローンを組んでいる人の多くは、7年なんていう時間を、想像できてい
ないのではないでしょうか。7年間きちんと収入があるのか、家族の生活にかか
る1年間の出費はいくらか…、などという思考は、到底ブータンの人たちの時
間感覚には合わない気がします。

 ブータンの友人たちは笑います。「貯金? そんなものないよ。そんな文化、
もともとブータンにはないもん」。宵越しの銭は持たねぇ。そんな“江戸っ子
気質”な彼らに、ローンの制度はなかなか馴染みにくいものかもしれません。


続く.........



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